鳥取で迎えた3日目の朝。
カーテンの隙間から差し込む柔らかな光。
昨夜の無料ラウンジで味わったウォッカの余韻がまだ身体に残っている。
▼この旅初日サンライズ乗車記についての記事はこちら

さて今日は何をしようか。
白紙のスケジュール。
それがこの旅のルール。
「そういえば、四国には一度も行ったことがないな」
ふと浮かんだ一言。 次の瞬間には決まっていました。
「本場の讃岐うどん、食べに行ってみるか」
昨日150kmを走破したばかり。
それでもアクセルを踏みたくなる。
理性より直感。 これが今回の旅のテーマです。
■ 鳥取から瀬戸大橋へ。距離感がバグる
鳥取を出発し、山陰の山々を越え、岡山方面へ。
地図で見ると簡単に見えるけれど、実際はそれなりに遠い。
淡々と続く高速道路。
サービスエリアでコーヒーを買い、再び走る。
そして視界が一気に開ける。
瀬戸大橋。
瀬戸内海の穏やかな青。
島々を縫うように続く巨大な橋梁。
「これは今日一番の当たりだ」
窓を少し開けると、潮の匂い。
ただ橋を渡っているだけなのに、明確な“越境感”がある。
本州から四国へ。
それだけでテンションは一段階跳ね上がる。
■ 1軒目『香の香』— 王道の完成度と驚異の回転
四国上陸後、まず向かったのは名店**『香の香』**。
店外への列はそこまででも無いものの、中にはいってからの列が長め。
一瞬「これは時間がかかるか?」と怯みましたが、そこはうどん県。
客の回転率が尋常ではありません。
並んでいる間に注文を捌き、席が空けば流れるように案内される。
結局、20分ほどで丼にありつけました。
注文は釜あげうどん。

湯気。 光る麺。 透き通るつけだし。
ひと口。 「あ、これは強い」
コシはあるのに硬すぎない。 小麦の甘みがじんわり広がる。
奇をてらわない王道。 完成度で殴ってくるタイプ。
一軒目から、味もオペレーションも完全に心を掴まれました。
■ ヤドン公園という緩衝地帯
しかし我々はまだ満足しない。
次に向かったのは**「ヤドン公園」**。
うどん県のPR団長・ヤドンが、あちこちで寝そべっている。
この“どうでもよさ”がいい。
ガチ観光とガチ移動の合間に入る、完全なる脱力スポット。
ここで一度テンションをフラットに戻す。 旅に緩急は必要だ。



■ 2軒目『うどんバカ一代』— 変化球の暴力
そして本命の2軒目。 『うどんバカ一代』。
ここもやはり行列。
しかし、ここでも「うどんの回転」という魔法に立ち会います。
スタッフの方々の無駄のない動き。
30分ほどの待ち時間も、期待感が高まる調味料のようなものでした。
狙いは名物・釜バターうどん。
バターの塊。 黒胡椒。 卵黄。
混ぜる。 見た目は完全にカルボナーラ。

ひと口。 「うどんの顔をしたカルボナーラだ」
でも、ちゃんとうどん。
小麦の力強さにバターのコクが絡み、黒胡椒が全体を引き締める。
1軒目が“正統派エース”なら、こちらは“豪速球の抑え”。
はしごして正解だった。
■ 屋島の夕焼け、そして現実
夕方、屋島へ。
展望台から見る瀬戸内海。 島々のシルエット。 空がオレンジから紫へと溶けていく。
「ずっと見ていられるな」

……が、ここで現実。
レンタカーの返却時間。 「やばい」
一気に現実モード。 絶景を背に、全力で山を駆け下りる。
この切り替えの速さも、自由旅の醍醐味。
■ 三井ガーデンホテルという安心感
今夜の宿は**「三井ガーデンホテル」**。
全国どこでも一定以上。 この“裏切らなさ”は大きい。
気づけばゴールド会員。 これまで積み上げてきた旅の宿泊数。
少しだけ誇らしい気持ちでチェックイン。
手元には2枚の朝食クーポン。 「明日はこれで締める」
3日間、 山陰を横断し、 四国へ渡り、 うどんをはしごし、 また本州へ戻る。
距離感は完全にバグっている。 でもそれがいい。
旅は効率じゃない。 思いつきと衝動の積み重ねだ。
明日は最終日。 この旅は、もう一段階“昇格”する。
続く。